ドライアイ

ドライアイとは

2016年にドライアイは以下のように定義されました。
「様々な要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、眼不快感や視機能異常を生じ、眼表面の障害を伴うことがある」 目には通常適量の涙が分泌され、眼球を守っていますが、ドライアイになると、涙の質や量が低下し、目に不具合を生じる状態をいいます。
現代病の1つであり、幅広い年代の人がドライアイの治療を受けています。近年、小学生のお子さんにも、ドライアイが見受けられるようになりました。

参天製薬ホームページより

ドライアイの症状

ドライアイの症状には下記のようなものがあります。
・目がゴロゴロする(異物感)
・目がしょぼしょぼする、乾いた感じがする
・目があきづらい
・目が痛い
・目が重たい感じがする
・メヤニが出る
・目が赤くなりやすい
・目に不快感がある
・涙が出る
・物がかすむ
・光がまぶしい
・目がかゆい

ドライアイの原因

(1)年齢  
年齢とともに涙の分泌量や質が低下するためです。

(2)性別  
女性のほうが男性よりドライアイになりやすいと報告されています。

(3)過度のVDT(visual display terminals)作業  
パソコン、スマートフォンなど、画面を見る作業を長時間行うことで、瞬きも減り、ドライアイを起こしやすいといわれています。

(4)乾燥した環境  
冬の乾燥した季節でドライアイが悪化するのは当然ながら、夏にエアコンにあたることでも悪化することがあります。

(5)コンタクトレンズ  
特にソフトコンタクトレンズ装用時は涙液層がコンタクトレンズにより崩れてしまうため、乾きやすくなります。

(6)喫煙  
たばこの煙で涙の状態が悪くなることが知られています。

(7)内服薬  
血圧を下げる薬や向精神薬など「抗コリン作用」を持つ薬では、涙の分泌量が減少することがあります。また、最近ではテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(商品名:ティーエスワン)という抗癌剤によって涙の分泌量が減少することが知られています。

(8)点眼薬  
点眼薬の中には、涙の安定性を低下させ、また角膜に障害を与えやすくなる成分が含まれていることがあります。ドライアイでは、点眼薬の中に含まれる防腐剤などによる障害も起こりやすくなります。

(9)マイボーム腺機能不全(MGD)  
眼瞼の縁にマイボーム腺という油を出す部位があります。加齢に伴ってマイボーム腺が詰まり、涙にとって重要な油が出にくくなり、涙液層の安定性が悪くなります。

(10)結膜弛緩症  
加齢に伴って皮膚に皺ができるのと同様に、白目の表面の結膜という皮が弛み、皺が眼表面にできることにより、涙を留めにくくなります。また、弛んだ結膜が瞼と触れやすくなり、摩擦によって眼表面に傷がつきやすくなります。

(11)全身の病気に伴うもの  
シェーグレン症候群という、涙腺、唾液腺に対する自己免疫疾患では、強いドライアイを生じることがしばしばみられます。

ドライアイの治療方法

ドライアイの治療法には、「点眼」「環境改善」「涙点プラグ」があります。

① 点眼療法
まず第一に点眼です。ドライアイのタイプにより、適した点眼薬を選択します。 点眼の種類には大きく分けて2つあります。1つ目は、不足した涙を補充するための人口涙液やヒアルロン酸製剤、2つ目は、涙液中へのムチンの分泌を増やす作用のある点眼液です。涙液の蒸発を防ぎ、涙液の安定性を保ち、眼表面の摩擦も軽減します。

② 環境の改善
ドライアイにとって好ましくない環境を改善することも治療になります。 もちろん画面を見る時間を減らせれば一番よいのですが、現実的には難しいことも多いですからで、こまめに休憩をとり、その都度点眼をするよいでしょう。 また、湿度の低い季節やエアコンで空気が乾燥している場所に長く滞在する場合は、加湿器の使用がおすすめです。コンタクトレンズ装用、喫煙、内服薬(抗コリン作用のある高圧剤や向精神薬)の常用などもドライアイの要因にもなりますので、注意しましょう。

③ 涙点プラグ
点眼療法のみでは改善に乏しい重症なドライアイに行われる治療法です。涙は涙腺から分泌された後、目頭側、上下のまぶたにあいている涙点(涙の配水管の入り口)に流れ込み、鼻涙管という配水管を通り、喉や鼻に流れていきますが、その涙の配水管の入り口である、涙点にシリコン製の小さな「栓(せん)」をしてしまうのです。涙の配水管の入り口に栓をしてしまえば、理論的には目の表面にとどまる涙の量が増え、潤いが増します。
涙点プラグは取り外しが可能で、ずっとつけたままでも構いません。が、シリコン素材の涙点プラグに抵抗がある方は、体温に反応してゲル化する液状のコラーゲン(キープティア)を鼻涙管に注入し、涙の配水管を塞栓させる治療法もあります。コラーゲンを使用した場合、個人差はありますが、2~3ヵ月のうちに徐々に分解されるため、効果は一時的です。