6月29日から7月1日にかけて、日本白内障屈折矯正手術学会が東京国際フォーラムにて開催され、参加してきました。そこで、とても興味深いお話が聞けました。
白内障手術を専門にされている先生方には馴染みのある単語だったかもしれませんが、「Negative Dysphotopsia」という白内障手術後におこることがある症状についての講演でした。日本語では「陰性異常光視症」と訳されているようですが、白内障手術後に耳側に三日月状の影が見える、という症状です。
確かに白内障術後に影が見える、と自覚される方は私も今まで何名か拝見したことがありますが、手術は問題なく施行されており、見た目にはなにも異常所見がありません。2000年に初めて報告があったようですが、未だにはっきりした原因は分かっていないようです。白内障手術直後に20%の方でみられ、自然に改善する事が多いようで、長期的にみると1.5%から3%の方にみられる症状との報告があります。
今回の学会での講演では、Negative Dysphotopsiaを生じた症例で、眼内レンズの入れ替え手術を行い、嚢外に眼内レンズを固定することによって症状が改善したそうです。通常の白内障手術では、水晶体嚢という、水晶体を包んでいた透明な「嚢」という袋に眼内レンズを入れるのですが、嚢外固定というのは嚢という袋の中に固定しないで、水晶体嚢の上に眼内レンズを固定する方法です。白内障手術後に影が見えて困っておられる方には治療法になるかもしれない、とても興味深いお話でした。